躁鬱病(双極性障害)の中年男子が植物から元気をもらいながらポジティブに生きるブログ

躁うつ病とポジティブに付き合う、オトコのボタニカルライフ

広告制作会社の映像・webディレクター、音楽家。躁鬱病(双極性障害)ですが運良く周りの人々に温かく支えられ、休職を繰り返しながら暮らしてます。躁鬱病でも暮らしがポジティブになれる自分流の付き合い方、植物の育て方を中心に書いていきます。

切り多肉

春先に嫁が植物を買ってきた。
ほら、珍しいでしょ?と意気揚々と植物を見せてきた。
花弁のように放射状に広がった多肉質の葉っぱ。
その中央付近から細長い茎がヒョロヒョロ伸びて小さな花を着けている。
そしてそいつは鉢植えではなく、エアプランツのように本体むき出しだった。
植物好きの俺のために買ってきてくれたその植物を、俺はしばらく眺めていた。
確かにカッコいいし、珍しいと思った。

だが、どうもこの植物に違和感を感じた。
嫁によると、この植物は切り花のように楽しむもので、
水はやれないから三カ月くらいしたら枯れるというのだ。
そういう植物だと植物屋に言われたらしい。

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余命三カ月と決められてしまった植物。
まずその境遇に不憫でならない。
俺はもともと切り花が好きではない。
なんだか、人だったら健康な状態で口を
糸で縫いつけられて餓死を待つようなイメージになるからだ。
植物本体から沢山生える茎をいくつか頂戴して飾る切り花なら、本体はまだ生き永らえるから許せるが、多肉の本体ごと切り花的にするのは殺人(殺植物)行為である。
それに、植物屋の説明でいうところの「そういう植物」、という植物は無い。

別に愛護団体のように植物を守るのだ!とか言う考えはまったくないが、エアプランツ以外の植物はちゃんと土に根を張り、水を飲み、日光を浴びて生きるのだ。
この植物だって裏を見ると太い根が生えていたような跡が残っている。

嫁が悪いのではない。こんな状態で多肉植物を売る植物屋が悪い。
こいつは間違いなく多肉植物(名前は分からない)である。
多肉が鉢植えではなく、むき出しになっている状態で、さらに花が咲いている状態、という設定は珍しいかもしれない。
だがその珍しさを優先させてこいつを見殺しにすることはできない。

俺は1時間ほど切り多肉をテーブルにそのまま置いて植物屋の描いた設定を消化した跡、急いで空いている鉢に土を入れ、その上にこの多肉を置き、水をたっぷりかけた。
植物屋によると、土に置いても根が張ることはまず無いとのこと。
だがそんな植物屋の意見はアテにならない。
どうせ余命三カ月なら、可能な限り延命策をとってみたい。

切り多肉を土に置いてから、なるべく直射日光に当てて水は週に一回くらいたっぷりあげた。
それから1カ月ほどしたある日、俺は切り多肉を持ち上げてみた。
すると、切り多肉の下に土がビッシリ付いてきているではないか。これは根が張って土に絡みついている証拠だ。
俺は狂喜してこのことを嫁に伝えた。嫁も生存確率ほぼゼロの植物が復活したことに驚いていた。

以来、うちの切り多肉は直射日光を浴びながらすくすくと育っている。
子株がいくつも出て、すっかり根付いたようだ。

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