種(しゅ)を残す力。コウモリラン(ビカクシダ)の底力
植物には流行があるようで、ここ何年かはコウモリラン(ビカクシダ)が流行っている。
で、我が家でも例外なくコウモリランを育てている。
二つあるコウモリランは、もともと一つはプラ鉢に植えられていたもの(上の写真のもの)、もう一つは土が玉になっていてぶら下げるタイプだった。
俺はネットなどでコウモリランの育て方や写真を観るたびに、ヘゴ板に着生させて壁にぶら下げる飾り方がカッコイイなと思っていた。オブジェとして造形美に優れているし、植物を立体的に楽しむことができ、さらにコウモリランにとっても生育しやすい環境だからだ。
なので俺は買った2つとも、一旦解体してヘゴ板に水苔で着生させた。
だが、これを育てるのがなかなか難しい。
もともと玉になっていた方はスクスクと胞子葉を伸ばしているが貯水葉が生えない。
鉢植えだった方は、植わっていた土が粘土質で乾きが悪く、根腐れ気味だったことに加えて、植え替えの時に勢い余って貯水葉を破ってしまった。
コウモリランは、貯水葉が取れてしまうと壊滅的なダメージを受けて枯れてしまうらしい。
俺はひたすらコウモリランに謝罪しながら、そっとベランダの日陰で養生させていた。
元鉢植えコウモリランは日に日に弱り、胞子葉を一枚、また一枚と落とし、20枚ほどあった胞子葉はついに3枚になってしまった。
俺はこいつについて半ば諦めていた。
言ってしまえば俺はこいつの内臓をえぐり取ってしまったのだ。
養分を吸収できなくなったらそりゃあ死んでしまう。
でも、水苔が乾いたら水はやり続けよう。
そして数ヶ月が経ったある日。
こいつを遠目から見ると、なんだか土部分の緑色の面積がいつもよりある。
近づいて見てみると、なんとちい~さな葉っぱが沢山生えているではないか!
コウモリランは、自分の命が幾ばくも無いと悟ってから、胞子をあたりに撒き散らし、子孫を残すべく活動していたのだ。
自分はどんどん葉を落としながらも、新しい命を芽吹かせるために。
俺は感動した。これが生命というやつか。
こいつの思いを成就させるべく、湿度と水分を保って新たな芽吹きをサポートしていきたい。