躁鬱病(双極性障害)の中年男子が植物から元気をもらいながらポジティブに生きるブログ

躁うつ病とポジティブに付き合う、オトコのボタニカルライフ

広告制作会社の映像・webディレクター、音楽家。躁鬱病(双極性障害)ですが運良く周りの人々に温かく支えられ、休職を繰り返しながら暮らしてます。躁鬱病でも暮らしがポジティブになれる自分流の付き合い方、植物の育て方を中心に書いていきます。

【フィロデンドロン・セロームの育て方】異星人襲来

まずは現在のフィロデンドロン・セロームをご覧いただきたい。

 

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これが我が家に1年ほど君臨しているフィロデンドロン・セローム(以下セローム)である。

セロームをご存知の方はこの写真を見てこう思うだろう。

「ひどい、むごすぎる」と。

通常セロームは親株がどんどん高さを増し、目玉のような跡が増え続けながら妖怪百目を想起させる風貌へと変化していくからである。そしてセロームの育て方を見ると、必ずといっていいほど脇芽を摘め、と書いてあるからである。

 

 

だが俺はこのセロームに愛着をもち、気になって仕方ない。

もとはと言えば、買った当初は小綺麗でツヤツヤした白い小さな陶器にぴったりと納まっていた。葉もいわゆるセロームの大きく細かい切れ込みの入ったものが3枚ほど。そして粘土質の土に植わっていた。

この粘土質の土が厄介だった。

この土は水がなかなか乾かないし、水を乾かしてなるものかと言わんばかりに陶器の鉢の底には穴も無い。植物屋の店員は「たまーに水をあげる程度でいいですよ」と言っていたが、セロームは水が大好きなはずだから、俺はたまーに水をあげる程度では気が済まない。

弱い日差しが入るリビングの片隅でセロームは暫く生活していたが、ほら見たことか、と気根が黒く変色をはじめ、様子がおかしくなっていった。

 

いま考えると、俺はセロームを植え替える理由が欲しかっただけなのかもしれない。だが黒い気根を見た以上、植え替えをしないわけにはいかなかった。

ちょうどその頃、ミントを育てていた大きな素焼き鉢が虫の浸食に遭い、カラになっていたので俺はセロームの引越先をこの鉢に決めた。

それが先の鉢である。いつもの通り、俺は一回りといわず三回りほど大きい鉢に植え替えた。俺のアタマの中ではセロームが「パイーン!」と元気のいい声を出しながらどんどん根を広げていく姿がイメージされていた。

 

その後、セロームは順調に回復するかにみえたが、イメージとは裏腹に一向に様子を変えない。さらに、梅雨時期というのも相まって鉢に虫が大量発生していった。ダンゴムシゲジゲジだ。

ダンゴムシゲジゲジも、土を肥やしてくれる益虫という人もいるが、俺は益虫認定した覚えは無い。クモが益虫なのは認めるが、この2種は大量に発生しすぎて視覚的なダメージが大きい。

俺は夏の直射日光が背中を直撃する中、鉢に水を1時間ほど撒き続け、土の中から虫が浮いて来るのを流し続けるという戦いを繰り広げた。

しゃがみ続けなければいけないし、ベランダの日差しは俺にジリジリとダメージを与え続ける。まさに死闘だった。

(この頃、殺虫剤は何か植物に壊滅的な害を及ぼすと思っていたので自然の力で虫を退治していた。今は迷わず殺虫剤をプシュプシュと撒きまくっている)

死闘の後、虫どもは息絶えたかに見え、俺は息を切らしながらシャワーを浴びた。

 

それから数ヶ月、セロームに異変が起きた。

親株本体からではなく、気根のすき間から新しい芽が生え始めたのだ。

俺はすぐにネットでセロームの育て方を確認し、それが脇芽であることを知った。脇芽は摘むべし、と書かれていたので脇芽が生える度に摘み続けた。脇芽は親株が調子の良い時にも生えるが、親株が身の危険を感じても生えるらしい。今回は間違いなく後者なのだが、俺は親株がやばいという事実を受け入れたくなくて、摘んだ。

やはり後者だったのだろう、本体の親株はいつまで経っても様子を変えない。葉を一枚だけ残し、同ポジをキープしているのである。

俺は焦った。セロームはぐんぐん成長しすぎて困るという人がいるほどカンタンに育てられるはず。そんなセロームを枯らしてしまったら俺はボタニカルマンの資格を剥奪されるだろう。枯れ専としての烙印は押されたく無い。

自分のメンタルを安定させるために植物を育てているのに、カンタンな植物を枯らしてしまったら精神的ダメージがでかくて自爆テロをおこなっているようなものである。

 

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そして、俺は最後の賭けに出た。

セロームの脇芽を摘まずに子株として育てることにしたのだ。

脇芽がある程度育ってから切り取って株分けするという方法も試みたがダメだった。だから本当に最後の賭けだ。

それが現在の姿。

脇芽のような葉はいつの間にか子株となり、その数は2つ。親株を浸食し続け、幼い緑色の気根は親株を覆い尽くそうとしている。親の養分を吸い取り、巨大化を続ける子株。恐ろしい・・・

お前、自分の親を食う気か・・・

恐ろしいスピードで親から子へと託されるDNAの受け渡し。毎日変貌を遂げるから目が離せない。

いまの俺にはセロームが、惑星フィロデンドロンという星の、セロームさんという新たな生物のように見える。

こいつに話しかける度に、「ヴォフォフォ・・・フォ」という地球の言葉ではないランゲージで返してくる。

これからさらなる変体を繰り返し、目玉を増やしていくのだろうか。それを見るにはもう少しこいつと付き合わなければならない。

 

 

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