1/3【シルクジャスミン(ゲッキツ)】俺流の育て方・植え替え
まさか最初に記事にするのが、シルクジャスミンになるとは思わなかった。
我が家には現在30種くらいの植物がいるが、シルクジャスミンはその軍団の中でも一軍にしていないからである。
シルクジャスミンには3年くらい前、植物に目覚め出した頃に白金のビオトープで出会った。
ビオトープは、観葉植物を扱う店としては昔からオシャレショップとして有名だろう。そんなオシャレな店で、アンティーク調のブリキの鉢に入ったシルクジャスミンは俺の心を踊らせた。
買ったのが晩秋ということもあり、部屋に置いていた。
背丈は1メートルほどあっただろうか。白く細長い木に、丸みを帯びた控えめの葉っぱ。控えめだが数が尋常じゃない無数の葉っぱ。
毎日シルクジャスミンを見つめながら、そのシルエットの美しさに見惚れていた。
置き場所はリビングの窓際で、緩い日が差し込むVIP席を明け渡した。
置き場所は大事だ。部屋の中でいかにその存在感を放ちながらインテリアと調和するか。もうここしかない、という場所にシルクジャスミンを据えていた。冬が近づくにつれ、部屋が寒くなってきた。シルクジャスミンも寒そうにしていた。だから俺は暖房を入れ始めた。
もちろん、ボタニカル初心者の俺だとしても、植物にエアコンの風を当てる事は御法度だと薄々気づいていた。直接当てなければいいだろう。葉水をすればいいだろう、と。
だがその場所は、暖房の直撃を免れない植物にとってはレベル5のデンジャーゾーン。葉水を忘れていたことも災いし(今考えると何故忘れたのか謎だが)、みるみるうちにシルクジャスミンは葉を枯らし、ただの棒になった。
俺はショックだった。だがその現実を受け入れられずに、彼を放置して春を迎えた。今はただの棒だけれど、それはきっと冬だからに違いない、と自分に言い聞かせながら。
春になり、俺はただの棒をベランダに出してみた。
日差しをたっぷり浴びれば復活すると思ったからだ。だが現実は空しく、彼はもうお逝きになっていたのだった。
フォーエバー。
俺は彼にそう言い残し、ただの棒を土に還した。
彼の分まで俺は生きてみせる。そう心に誓った。
在りし日のシルクジャスミンが入っていたブリキのフラワーポット