謎の多肉植物
半年ほど前に、スーパービバホームの多肉バイキングをじっと見ていたら、一つ、細く茶色い棒が刺さっているのが100円で売っていた。
棒の先端には僅かに生えている多肉質の葉っぱが二枚。棒の長さは3cmほどだっただろうか。もちろん名前など書いていない。
俺はこの棒が、この先どんな変貌を遂げるのか見たくなった。名前もわからないので育て方は分からなかったが、すぐに100円を支払い、棒一本のために5号鉢を用意して、直射日光のあたるベランダに置いておいた。
よほど日差しを欲していたのだろう。棒はあっと言う間に歯を増やした。だが、棒が3cmなのに対して、生えてくる葉っぱが多すぎる。棒は、二頭身以下のボンバヘッドになった。
日に日に項垂れてアタマを地面に付けるボンバヘッド。見た目には砂漠で餓死しそうな旅人にしか見えなかったが、俺にはどうすることもできず、ただ水だけあげていた。
そして最近のボンバヘッドがこれ。
項垂れたアタマから奴はさらに分岐を繰り返し、身体ではなくアタマを支点にして上を向いている。
これがこいつの生き方なのか。
なんて不器用な奴なんだろう。
こんな不器用な奴でも必死に生きている。
早く花を付けた姿を見たい。
相変わらずこいつの名前は分からないが。